楽天のKoboには感じられないKindleの可能性

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Kindleがリリースされ「読書のソーシャル化」が一気に広がりそうです。

本を読むのに紙が良いか、それとも電子書籍が良いかの議論は、人の好みや読書環境により、メリット、デメリットの天秤は揺れ動くので、一概にどちらが良いかの結論はここでは出せません。

ただ、電子書籍でしか出来ないことがあり、それが潜在的に求められている機能であれば、電子書籍のニーズは大きくなり、利用の場面は一気に広ると予想されます。

■電子書籍でしか出来ないこと

電子書籍の最大のメリットは、その端末がインターネットに接続され、今読んでいる本自体が世界と直接繋がっている事です。

これは、紙か液晶画面かという、コンテンツの表示方法とはまったく別次元の特性です。

本を読み、それを通して新しい知識を得、物語に感動し心を震わせる。

本を読む事で得られるこの様な体験を読書体験と呼ぶなら、従来の読書体験が個人的で閉じられていたのに対し、電子書籍によるそれは、個人の枠を超え他者の体験と交わり、新しい体験を生み出します。

■読書体験の共有

抽象的になりすぎたので、電子書籍の何処に可能性を感じるか具体的に説明したいと思います。

Kindleストアが公開されてすぐ、私もiOSのKindleアプリで何冊か読んでみました。
その中で面白いと感じたのがハイライトの共有機能です。

アプリでは、読書中、気になった所にマーカーを引くハイライト機能があります。
紙の本であれば、付箋を貼り赤線を引くのと同じですね。

そして、そのハイライトは、コメントを添え、FacebookやTwitterに投稿する機能が付加されています。

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Twitterへ投稿すると、この様な感じでポストされ、リンクのURLをクリックすると、ハイライトされた本文とコメントが表示されたページへジャンプします。

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▼Kindleからポストされたベージ
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現時点では、各ユーザーが投稿したWebページはバラバラで、他のユーザーの投稿したページとは繋がりはありませんが、もし追加機能として、同じ本、本の同じ箇所についての感想を他のユーザーの感想と併せて一覧表示出来るとどうでしょう。

■電子書籍の可能性

同じ本、同じページであったとしても、それに対する感じ方、感想は人それぞれです。

これまでは、近くに同じ本を読んだ人がいて、お互いに感想を述べ合うような場がなければ、自分の感想と他人のそれとを比べる事は出来ませんでした。

Web上では書評を書いたり、また人の書評を読むことは出来ますが、一般の読者がそれを実行するには少しハードルが高く感じます。

最初に戻りますが、私が電子書籍に感じる可能性、魅力はここにあります。

自分が今読んでいる本、そこで感銘を受けた箇所をリアルタイムに公開して共有出来ること。

その方法も、iPhoneやその他スマートフォンなどの携帯デバイスからTwitterやFacebookに投稿するのと同じくらい気軽に出来るところです。

例えるなら、不特定多数の人とオンラインで読書会を開いている様な感じしょうか。

■まとめ

ここ数年、ソーシャル化という言葉が一般的になりました。

手軽に読む事ができ、手軽に感想を公開出来る電子書籍の登場で、ソーシャル化という言葉が読書の世界にも押し寄せるのか。

今年は電子書籍元年と言われ、色々な方がKindleの感想記事を書かれてます。
この先、Kindleを初めとする電子書籍とマーケットが、読書の仕組みを大きく変えるか、それとも変わらないのか。

その判断が下されるのは来年以降になるのでしょう。

■補足

本の感想をWebにポストする事は、ユーザーが自らその本の宣伝をしているのと同じです。

これからは、KindleからポストされたコメントをTwitterやFacebookのタイムラインで見かける事も増えるでしょう。

そして、それを読んだ他のユーザーがURLをクリックし、その本を購入するのも自然な流れです。
Amazonのマーケティング戦略は実にしたたかで、よく考えられています。

今年、日本発の電子書籍デバイスとして、楽天のKoboが鳴り物入りで登場しましたが、携帯デバイスで本を読めさえすれば良いと考えてそうな楽天と、読書体験自体を仕組みから変え、更にはそれ自体を広告媒体として利用しようとしているAmazonとでは、Amazonの方に軍配が上がりそうですね。

日本発の電子書籍マーケットにはもっと頑張って欲しいものです。

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