■緊急事態発生!
想像してみて下さい。
自分の家族二人が、異なる場所で同時に事故に遭ったらどうしますか?
同時は言い過ぎにしても、同じ日に何らかのトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。仕事中、そのような緊急を知らせる連絡が入ってきたらどうするか、具体的に考えてみて下さい。事態が深刻で、事故が起きた場所が離れていればいるほど、難しい判断を強いられます。現時点で確認出来る状況が曖昧であればなおさらです。
まずは上司に報告し、早退のお願いをするでしょう。次に実家や友人など、自分の代わりにサポートしてくれる人に連絡を取り、自分が行くことが出来ない方への対処をお願いします。飛行機を使うような遠方であれば、今の時間から乗ることの出来る飛行機を確認し、チケットの予約をしなければなりません。自宅に戻る必要があれば、電車に飛び乗り、持ち出す物のリストを考えます。事故であれば保険の会社への連絡、子供の事であれば学校への連絡など、やるべき事が一気に押し寄せます。それらはまさに、緊急かつ重要なタスクばかりです。
どうでしょう?そんな状況を実際に想像した方は、何とも言えない不安な気持ちになったと思います。私もこの文章を書きながら、心がざわつきました。ザワザワと。。とても嫌な感覚ですね。
■人の脳は現実と非現実の違いがわからない
なぜこのような気持ちになるのか?
脳科学の本に書かれてあった事ですが、人の脳は実際に目の前で起きている事と、自分で想像した事との区別が出来ないそうです。実際に起きていない事あっても、自分で想像していることは、脳にすると実際に起きているのです。
初めに挙げた例もそうですが、不安になるような情景を想像すると、脳はそれを現実とみなし、実際の出来事が起きたのと同じ不安感を産み出します。
万が一にも起こりうるトラブル(心配事)に対して、事前に準備するのはいいのですが、それに意識を向けることで生じた不安感で、自分の判断や行動に足枷をはめるようではいけません。その不安感を産む原因、心配事の正体を見極め、上手に対処しないと身動きが取れなくなってしまいます。
頭の切り替えが早い人ならば「可能性としてはあるかもしれないが、今は気にする事ではない」と判断し、その妄想をさっと切り捨てるでしょう。GTDでは、この判断を意識的に行なうことで精神衛生を保てるという副次的な効果があります。
自分自身を振り返っても、GTDの思考フロー実践するようになって以来、将来のモヤモヤとした事柄に対する不安を感じなくなりました。その理由について考えてみます。
■不安の原因を見極める
GTDでは、頭の中の気になること全てを書きだし、その一つ一つについて「それは何か?」という問いかけを行います。その問いかけの答えとして「行動に移す必要があるかどうか」の判断を行います。
最初に挙げた家族の事故は、起こりうるかもしれませんが、今実際に起きている事ではありません。今それに対して出来ることは何も無いのです。心配事に対して実行出来る事がなにも無いとすれば、心配するだけ無駄ということです。
もし、その気になることが、次の行動(Nextaction)を伴わないものであれば、GTDのフローに従いゴミ箱に捨ててしまいましょう。お守りを買うなど、気休めに出来ることがあれば実行しても良いかもしれません。
GTDでは気になる事(心配事)に対して、行動に移す必要があるかどうかを明確にすることで、その気になること、不安な事が、今、目の前にある現実なのか、それとも自分が創り出した形のない妄想なのかを明確にしてくれます。
今、現実の世界に生きている私達が対処しなければならないのは、実際に行動に移すことの出来る今そこにある危機だけなのです。
もし心の中にモヤモヤした気持ちを感じていたら、それを1つずつ書き出し、行動に移せるかどうか確認してみると良いかもしれません。
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